TOKYO TECH ENERGY COURSE

教員紹介

山田 明 - エネルギーコース主任 -

東京工業大学エネルギーコースのホームページにようこそ。エネルギーコースでは,大学院修士課程,博士課程の学位の取得が可能です。このホームページを訪れてくれた皆さんは,地球の環境問題,エネルギー問題に興味があると思います。東京工業大学には,このエネルギー問題に対して燃料電池,蓄電池,光触媒,太陽電池などハード面に対して非常に強い教員がたくさんいます。ただしエネルギー問題の将来を見据えると,個別の研究領域を深く掘り下げると共に,少し高い位置から俯瞰的に眺めてみることが必要になってきます。例えば,上に列挙した機器も少し俯瞰的に眺めてみると,多くの部分で拡散現象を利用して動作していることが見えてきます。すると,これまで簡単に拡散現象と呼んでいた現象の本質は?と疑問が生じ,現象の深い理解から,これまでバラバラに見えていた機器を統一的に理解することができるようになります。また,別の次元に視点を移すと,例えば太陽電池などの機器が社会に受け入れられるためには?普及させるための政策は?など,エネルギー問題を社会との関係性の中で理解しなくてはならないことが分かります。このエネルギーコースでは,化学,機械,電気,材料などを専門とする教員が横断的にカリキュラムを構築し,現象の本質を講義するとともに,エネルギーに関係する経済・政策のカリキュラムを用意しております。是非,このホームページから東京工業大学エネルギーコースの概要を辿り,自身の興味にマッチするテーマがあるか見つけてください。

伊原 学 - エネルギーコース教育委員会委員長 -

東工大エネルギーコースの理念、“多元的エネルギー学理”

エネルギー学は、化学、物理、電気、材料、機械など多岐にわたる学術分野から構成され、それらを基礎とする各エネルギーデバイスは相互に共通性があるものの、それぞれの知識は孤立している場合が多く、充分に知識の共有が行われているとは言えない状況にある。エネルギー学などの学術は、より専門的な分野への分化とその専門分野の深化を繰り返すことによって急速に発展してきた結果、膨大な知識がエネルギー学として蓄積される一方で全体を俯瞰することが難しくなってきた。 このような問題を解決するため、東工大エネルギーコースでは、エネルギーに関する各分野を横断的に扱う「多元的エネルギー学理」を提唱している。多元的エネルギー学理では、まず、各エネルギー技術の類似性と相違性を把握する。そのうえで、知識を適切に分解して、再体系化する。各技術において類似性と相違性が整理されると俯瞰的視点がうまれ、理解度が向上する。また、類似性がある部分については、他分野の知識がそのまま再利用できる可能性が高く、仮に一見かけ離れているように見える分野間で類似性が発見できれば、その分野でのイノベーションに繋がる。しかも、このような知識の分解と再体系化の方法は一通りではなく、観点によって多様に存在するはずである。 例えば、デバイスを物質やエネルギーの流れの観点から整理してみよう。Siなどの半導体太陽電池では、材料系が決まれば、効率低下の主な要因は、再結合と呼ばれる光キャリアの損失である。しかし、固体酸化物燃料電池(SOFC)では、電流と燃料供給流量のバランスを考慮して燃料利用率を一定に保てば、デバイス内での電子の損失はなく、効率低下要因は内部抵抗による電圧損失となる。また、出力(仕事)は電流と電圧の積で表されるので、極論すれば半導体太陽電池の開発課題はいかに電流損失を防ぐかであり、一方、SOFCでは電圧損失をいかに防ぐかであると言える。また、色素増感太陽電池(DSSC)では、色素による光吸収、色素内の中心金属から配位子への電荷移動、色素からチタニアの伝導帯への電荷移動、チタニア多孔質内の焼結性に依存する電子伝導、電解液中のイオン拡散、対極から電解液への酸化還元反応による電荷移動、、、など様々な物質や界面における電荷移動の遅れにより生じる過電圧によって電圧損失が生じるとともに、チタニアから電解液への逆電子移動等によるデバイス内の電流損失によっても効率が低下する。したがって、物質やエネルギーの流れと損失要因の観点から整理すると、DSSCは太陽電池であるものの、半導体太陽電池とSOFCの中間に位置することになる。 このように、「多元的エネルギー学理」の視点から異なるエネルギーデバイスを比較し、類似性と相違性を理解すると、各デバイスを単独で理解しようとするよりも、より深くそのデバイスを理解し、全体像を俯瞰できるようになる。 東工大エネルギーコースでは、特に選択必修科目であるエネルギー基礎学理1,2、エネルギーデバイス論1,2、エネルギーマテリアル論1,2において、上記多元的エネルギー学理のコンセプトによって講義を構成するとともに、この理念に基づいてコースカリキュラムを構築していくことを目指している。多元エネルギー学理の体系は多様であり、体系化はまだ道半ばである。これから本コースに入学する学生の皆さんとともに多元的エネルギー学理の体系化をすすめ、発展させていきたいと考えている。