TOKYO TECH ENERGY COURSE

コース主任

エネルギーコース教員

エネルギーコースの教員のリストについては、左側上の五十音順リストまたは下の学科別リストをクリックしてください。

木村 好里 - エネルギーコース主任 (2021年度-2022年度)

Yoshisato Kimura

地球環境とエネルギーを取り巻く世界の情勢は絶え間なく猛スピードで激しい変化を続けており,私たちは2050年までに温室効果ガスの実質排出量をゼロにするカーボンニュートラルの実現に挑戦しています。いま私たちは何ができるでしょうか?これらの問題を解決するためには,多彩な専門分野の基礎知識を融合させて,まったく新しい価値やイノベーションを生み出す必要があります。「木を見て森を見ず」に陥らないためにも,広い視野で“地球という系全体”を俯瞰して見渡す力を身につけることが重要です。

エネルギーコースで学ぶ最大の魅力とは何でしょうか。みなさんは,自分の夢を追いかけて選択した,あるいは偶然に出会うことになった学院・系に所属して専門分野を深く掘り下げて学問を究めようと努力しています。エネルギーコースを選択することは,地球環境保全と持続的発展の重要なキーワードであるエネルギーの視点に立ち、自専門とは異なる研究分野と関わりながら地球規模で環境・エネルギーの全体像を俯瞰する能力を身につける絶好の機会となります。

普段から広く使うエネルギーという言葉に,私は無限の可能性と大きな期待を感じます。皆さんはどうでしょう?エネルギーに満ちあふれた人々は常に魅力的で格好よく,仕事でも遊びでも,ここぞという瞬間にフルパワーを発揮して活躍することができます。エネルギーコースでしっかりと深く広く学び,研究者として飛び抜けた技術と優れた能力はもちろん,誰もが憧れを抱く確かな人間力を身につけて,世界へとつながる広大な空に飛び立ってもらいたいと願っています。

荒井 創 - 元エネルギーコース主任 (2020年度-2021年度)

Hajime Arai

エネルギー・環境という言葉を目にしない日はないほど、現代社会とエネルギー技術は密接に結びついており、エネルギーに関するサイエンス・エンジニアリングの進化は、再生可能エネルギーと共存する、循環型の未来社会づくりに欠かせない要素です。国連で採択された持続可能な開発目標SDGsにも、7番目に「 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」が挙げられ、他にも多くの項目がエネルギー関連項目になっています。複雑に関連する諸課題の解決には、従来ある学問分野を発展させることに加え、分野を横断・俯瞰する視野の広さ、先を見通すデザイン力が必要です。エネルギーコースの学生の皆さんには、所属する化学・機械・電気電子・材料・応用化学・融合の各系で学問を深めると同時に、コースを横断する幅広い見識を身につけて頂きたいと考えています。異なる考えを理解するだけでなく、異なる考えを活用して新しい概念・技術を産み出し、明日の社会を牽引する人材が育つよう、務めていく考えです。また企業や国との共同研究に取り組むコース教員は多く、コース修了生も産業、公官庁、アカデミック等の幅広いエネルギー関連分野において活躍しています。

末包 哲也- 元エネルギーコース主任 (2018年度-2019年度)

Tetsuya Suekane

現代社会はエネルギーの大量消費に立脚しているとともに,ますます懸念が指摘されている環境問題とも密接に関係しています.温室効果ガスの排出に伴う気候変動抑制や持続可能な社会の実現に向け,今世紀中に化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトが着実に進むと考えられます.これからの人類の豊かな社会を実現・維持していくにはエネルギーや環境に関連した知見が必要不可欠です. 皆さんはこれまでに様々な学術的な専門分野の教育を受けてきていると思います.その分野の考え方に基づいて,あるいはその分野の視点からエネルギーや環境について考察した経験があると思います.しかしながら,エネルギーはより広範な概念であり,理工学的な側面や工学的な側面のみならず,社会学的・経済学的な側面など,多角的な分野に跨って議論しなければなりません. 東工大エネルギーコースでは,エネルギー問題やエネルギー関連技術に関して,自らの専門分野を深めるとともに,周辺分野,関連分野の知識を系統的に学修できるプログラムを準備しています.学問的な背景の異なる学生や教員との刺激的でイノベーティブな議論を通じて,より俯瞰的にエネルギー問題の本質に迫っていきたいと思います.

山田 明 -元エネルギーコース主任 (2016年度-2017年度)

Akira Yamada

東京工業大学エネルギーコースのホームページにようこそ。エネルギーコースでは,大学院修士課程,博士課程の学位の取得が可能です。このホームページを訪れてくれた皆さんは,地球の環境問題,エネルギー問題に興味があると思います。東京工業大学には,このエネルギー問題に対して燃料電池,蓄電池,光触媒,太陽電池などハード面に対して非常に強い教員がたくさんいます。ただしエネルギー問題の将来を見据えると,個別の研究領域を深く掘り下げると共に,少し高い位置から俯瞰的に眺めてみることが必要になってきます。例えば,上に列挙した機器も少し俯瞰的に眺めてみると,多くの部分で拡散現象を利用して動作していることが見えてきます。すると,これまで簡単に拡散現象と呼んでいた現象の本質は?と疑問が生じ,現象の深い理解から,これまでバラバラに見えていた機器を統一的に理解することができるようになります。また,別の次元に視点を移すと,例えば太陽電池などの機器が社会に受け入れられるためには?普及させるための政策は?など,エネルギー問題を社会との関係性の中で理解しなくてはならないことが分かります。このエネルギーコースでは,化学,機械,電気,材料などを専門とする教員が横断的にカリキュラムを構築し,現象の本質を講義するとともに,エネルギーに関係する経済・政策のカリキュラムを用意しております。是非,このホームページから東京工業大学エネルギーコースの概要を辿り,自身の興味にマッチするテーマがあるか見つけてください。

伊原 学 - エネルギーコース教育委員会委員長 (2016年度-2017年度)

Manabu Ihara

東工大エネルギーコースの理念、“多元的エネルギー学理”

エネルギー学は、化学、物理、電気、材料、機械など多岐にわたる学術分野から構成され、それらを基礎とする各エネルギーデバイスは相互に共通性があるものの、それぞれの知識は孤立している場合が多く、充分に知識の共有が行われているとは言えない状況にある。エネルギー学などの学術は、より専門的な分野への分化とその専門分野の深化を繰り返すことによって急速に発展してきた結果、膨大な知識がエネルギー学として蓄積される一方で全体を俯瞰することが難しくなってきた。 このような問題を解決するため、東工大エネルギーコースでは、エネルギーに関する各分野を横断的に扱う「多元的エネルギー学理」を提唱している。多元的エネルギー学理では、まず、各エネルギー技術の類似性と相違性を把握する。そのうえで、知識を適切に分解して、再体系化する。各技術において類似性と相違性が整理されると俯瞰的視点がうまれ、理解度が向上する。また、類似性がある部分については、他分野の知識がそのまま再利用できる可能性が高く、仮に一見かけ離れているように見える分野間で類似性が発見できれば、その分野でのイノベーションに繋がる。しかも、このような知識の分解と再体系化の方法は一通りではなく、観点によって多様に存在するはずである。 例えば、デバイスを物質やエネルギーの流れの観点から整理してみよう。Siなどの半導体太陽電池では、材料系が決まれば、効率低下の主な要因は、再結合と呼ばれる光キャリアの損失である。しかし、固体酸化物燃料電池(SOFC)では、電流と燃料供給流量のバランスを考慮して燃料利用率を一定に保てば、デバイス内での電子の損失はなく、効率低下要因は内部抵抗による電圧損失となる。また、出力(仕事)は電流と電圧の積で表されるので、極論すれば半導体太陽電池の開発課題はいかに電流損失を防ぐかであり、一方、SOFCでは電圧損失をいかに防ぐかであると言える。また、色素増感太陽電池(DSSC)では、色素による光吸収、色素内の中心金属から配位子への電荷移動、色素からチタニアの伝導帯への電荷移動、チタニア多孔質内の焼結性に依存する電子伝導、電解液中のイオン拡散、対極から電解液への酸化還元反応による電荷移動、、、など様々な物質や界面における電荷移動の遅れにより生じる過電圧によって電圧損失が生じるとともに、チタニアから電解液への逆電子移動等によるデバイス内の電流損失によっても効率が低下する。したがって、物質やエネルギーの流れと損失要因の観点から整理すると、DSSCは太陽電池であるものの、半導体太陽電池とSOFCの中間に位置することになる。 このように、「多元的エネルギー学理」の視点から異なるエネルギーデバイスを比較し、類似性と相違性を理解すると、各デバイスを単独で理解しようとするよりも、より深くそのデバイスを理解し、全体像を俯瞰できるようになる。 東工大エネルギーコースでは、特に選択必修科目であるエネルギー基礎学理1,2、エネルギーデバイス論1,2、エネルギーマテリアル論1,2において、上記多元的エネルギー学理のコンセプトによって講義を構成するとともに、この理念に基づいてコースカリキュラムを構築していくことを目指している。多元エネルギー学理の体系は多様であり、体系化はまだ道半ばである。これから本コースに入学する学生の皆さんとともに多元的エネルギー学理の体系化をすすめ、発展させていきたいと考えている。